女とは、階級とは、国とは、人種とは──。
海を越え、運命を切り拓く少女たちの物語。
構想10年。国際アンデルセン賞韓国候補作家が、日本軍慰安婦、対日協力者、アメリカ日系人収容所など、複雑な日韓の近現代史を、女の視点から描く傑作エンタテインメント。「人間は複雑で多面的な存在で、完全な善人も悪人もいない。誰もが自らの欲望や利益を前に、揺れながら生きている。人間を日帝強占期という歴史の枠組みに閉じ込めて、二分法的に描きたくなかった」──イ・グミ(本書より)
2018年度国際児童図書評議会オナーリスト選定図書。
「貧しく低い身分で、女として生まれたのは、自ら選んだことではない。植民地の民となったのも、国に力がなかったからだ。なのに、苦しみは個人や民が負わなければならない。」植民地期の朝鮮半島。貧しい生まれながら、韓国、日本、中国、ロシア、アメリカと、世界を渡り歩くごとに視野を広げ、勇気を蓄えていく少女、スナム。片や対日協力者の子爵の娘として生まれ、同じように世界を渡り歩くことで現実の厳しさを知っていく少女、チェリョン。蔦のように絡み合う2人の少女の人生を通して、日韓近現代史の複雑さ、そして歴史や国から自由になれない個人の、そして女性の人生を克明に描き出す。