Ta+: ISSUE #006 旅と芸術生産

4200

Ta+: ISSUE #006 旅と芸術生産  (4200)

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+journal/D4版タブロイド(406×272mm)/24ページ

 

旅について、もっとも意味深い思索のひとつはポール・ボウルズによって書かれたものだ。彼は、『シェルタリング・スカイ』の主人公の口を借りてそれを明らかにしている。彼が語るのは、ツーリストと旅人の違いだ。前者はやがて家に帰るが、後者はそうしない。旅人はゆっくりと、何年もかけて、この惑星のある場所から別の場所に移動していく。この旅人の姿を考えると、わたしたちが旅人と呼んでいるものがどれだけそれからかけ離れているかがわかる。また同時に、「場所」がひとつの環境であることに気づけば、生涯を通して同じ場所にとどまる人間もまた、旅人だと言えるのだ。わたしたちの環境はゆっくりと変化している。わたしたちはレベッカ・ソルニットの、後代の人間がわたしたちを裁くだろう……、という警句を忘れるべきではないだろう。何によって? わたしたちがまだ知りもしない罪によって、と彼女は言う。これは、わたしたちがまだ知らない場所に移動していくことについて述べている。彼女は、明らかに、空間的な意味でも、そして時間的な意味でも、旅について考えている。人種、性別、セクシュアリティに関して、わたしたちはそれらの多様性の重要性を認識し始めている。しかし、理解するだけでは不十分で、明日の罪を犯しているかもしれないということにも心を配らなくてはならない。わたしたちはいつも、まだ知らぬどこかに向かう途上にいる…

One of the most meaningful reflections on travel can be found in the writing of Paul Bowles. He reveals it through the words of his protagonist in The Sheltering Sky. What he describes is the difference between the tourist and the traveler. The former eventually goes back home but the latter does not. The traveler moves slowly from one place to the next on this planet, over the course of many years. When we think about this idea of the traveler, we realize how far removed it is from what we call a traveler. At the same time, if we come to see a “place” as an environment, a person who stays in one place throughout his life can be called a traveler, too. Our environments are changing slowly. We should not forget Rebecca Solnit’s epigram, posterity will curse us……. For what? For crimes we have not yet comprehended, she says. This is a comment about how we move to places we don’t know yet. Obviously, she is thinking about travel, in both a spatial and a temporal sense. We are becoming aware of the importance of diversity with respect to race, gender and sexuality. But understanding alone is not enough: we must also be mindful of the possibility that we are committing tomorrow’s crimes. We are always on the way to somewhere that is still unknown…

リード:杉田 敦
リード翻訳:アレックス・デュドク・ドゥ・ヴィット

Lead text: SUGITA Atsushi
Translator for lead text: Alex Dudok de Wit

 

CONTENTS

栗原 康(政治学者, アナーキズム) 「未来をサボれ−大杉栄、日本脱出の思想」
阿部まゆ子 × 倉茂なつ子(ノースジャパンツアーズ × +journal) 「石巻」
杉田 敦(美術批評) 「ホドロジーを巡って」
安岐理加(美術家, てしまのまど主宰) 「残された道具から浮かび上がる逃走線」
三田村光土里(アーティスト) 「365 Encyclopedia」
ヘドウィッグ・フィヘン(マニフェスタ 創設ディレクター) 「マルセイユに可能なことすべてを:マニフェスタ 13とマルセイユ市民の詠唱」
大小島真木(アーティスト) 「地に潜れ、旅に出よう」
飯山由貴(アーティスト) 「ハッピーセパレーション」
tavola aperta(杉田里佳, 秋山友佳 / アート・ユニット) 「ソンスルチプ(선술집)…酒場の風景」
山本貴光(文筆家, ゲーム作家) 「草枕旅となりなば紙の辺に」
大西暢夫(写真家, 映画監督) 「出かけること」
山本千愛(アーティスト) 「12フィートの木材を持ってあるく」
エイドリアン・ファベル(リーズ大学 バウマン・インスティテュート ディレクター) 「モビリティの時代における移民のイメージ」
orangcosong(藤原ちから, 住吉⼭実⾥ / アート・コレクティブ) 「ユーラシアの雨」
齊藤哲也(美術批評) 「かき揚げ天の門前」
森村泰昌(美術家) 「Blinded by the Light」

 

企画・編集:
+journal(井上文雄、倉茂なつ子、齊藤哲也、杉田 敦、高橋夏菜、沼下桂子、原田 晋)

 

 

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