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池田喬・堀田義太郎 著/アルパカ /四六判 並製/272ページ
日常にある差別や偏見。どう考えれば、どうすればいいのかに応える待望の本!
差別的な行為、発言、あるいは偏見について、またハラスメントやいじめと差別との相違、アファーマティブ・アクションと逆差別、配慮しているつもりが差別になるというマイクロアグレッションなど、実際、日常で起きている差別や偏見について、どう考えていいのかわからなくなったら、立ち戻るところがようやく見つかった。
本書は「差別とはどういうものか」「差別はなぜ悪いのか」「差別はなぜなくならないのか」の3つの問いを通して、差別について哲学的に考えていきます。本書の基本的なスタンスは、悪質な差別をあたかも問題のない単なる区別かのように偽装しないこと、それと同時に、何でもかんでも差別と呼ぶような言葉のインフレに陥らないようにすること。
世界では盛んな差別の哲学だが、日本の哲学ではこれまで扱われてこなかった。本書は具体的な事例を使った日本では初めての差別の哲学入門書の決定版!!
目次
序章 なぜ「差別の哲学」なのか
第1章 差別とはどういうものか
単なる区別と不当な差別はどう違うのか/区別か差別かの分類のむずかしさ/アファーマティブ・アクションと逆差別/ヘイトスピーチはどういう意味で差別か/中間考察ーー拾いすぎることと拾えないこと/ハラスメントは差別か/いじめは差別か/差別に歴史は必要か
第2章 差別はなぜ悪いのか
四つの答え/差別者の心や態度に問題があるのか(心理状態説) /害が大きいから悪いのか(害説) /自由を侵害するから悪いのか(自由侵害説) /被差別者を貶めるような社会的意味をもつから悪いのか?(社会的意味説) /結局、差別はなぜ悪いのか
第3章 差別はなぜなくならないのか
なぜ嘘はなくならないのか/悪気はなくても差別は起こるーー事実による正当化/事実なのだから仕方がない、とはなぜ言えないのか/配慮しているつもりが差別になるーーマイクロアグレッション/差別されていると言えなくなる/反差別主義者も無自覚に差別している/科学との付き合い方/接触理論の着想/ためらいの好機
終章 差別の問題とこれからの哲学
池田喬 (イケダ タカシ)
1977年生まれ。明治大学文学部准教授。博士(文学)。専門:哲学・倫理学(特に現象学、差別論)。
共著に『フェミニスト現象学入門 : 経験から「普通」を問い直す』(ナカニシヤ出版)、「「人種化する知覚」の何が問題なのか?――知覚予期モデルによる現象学的分析」(『思想』1169号)、共訳書に『差別はいつ悪質になるのか』(法政大学出版会)など。
堀田義太郎 (ホッタ ヨシタロウ)
1974 年生まれ。東京理科大学教養教育研究院准教授。専門:哲学・倫理学(特に生命倫理学・差別論)。共著に『レイシズムを考える』(共和国)、論文に「差別と社会集団」(『思想』1169 号)、共訳書に『差別はいつ悪質になるのか』(法政大学出版会)、『傷つける言葉』(明石書店、近刊)等がある。