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ジャック・エリュール著 新教出版社編集部訳/新教出版社/四六判/220ページ
信仰のアナーキー
鋭利な技術社会批判で知られるキリスト教知識人、ジャック・エリュール。ファシズムとの闘争、シチュアシオニストとの接触やエコロジー運動への参与のなかで形成されたそのラディカルな思想は、組織宗教の権威主義や国家を追認する聖書理解に反駁し、信仰とアナキズムの出会うべき地点を開示する。主人の軛を砕く解放の神、支配の根拠を切り崩すイエス、政治権力を退ける預言書や黙示録など、キリスト教に内在するアナーキーなポテンシャルを覚醒させる晩年の重要作。
目次
英語版への序文 デヴィッド・W・ジル
序章
第1部 キリスト教の立場から見たアナーキー
1. アナーキーとは何か
2. キリスト教に対するアナーキーな憤り
第2部 アナーキーの源泉としての聖書
1. ヘブライ語聖書
2. イエス
3. ヨハネの黙示録
4. ペトロの手紙一
5. パウロ
補論
1. カール・バルトとアルフォンス・マイヨによるローマの信徒への手紙13章1-2節の解釈
1-1. カール・バルト
1-2. アルフォンソ・マイヨ
2. 良心的兵役拒否者
3. 証しーー牧師とアナキスト アドリアン・デュショザル
結章
解説
ジャック・エリュール Jacques Ellul(1912-1994)
フランス・ボルドー生まれ。ボルドー大学で教鞭を執った法制史家、社会科学者にして、プロテスタント・改革派教会の信徒神学者。青年時代は戦間期の思想運動・非順応主義の影響下でファシズムとの闘争に身を投じたほか、戦後はシチュアシオニスト・インターナショナルとの接触やアキテーヌ沿岸の開発反対闘争などへの参与をへて、キリスト教アナキズムともいうべき特異な思想を形成していった。キリスト教信仰からの技術社会批判の系譜では極めて重要な位置を占める、再評価が待たれる思想家である。『技術社会 上下巻』(島尾永・竹岡敬温・鳥巣未知郎・倉橋重史訳、すぐ書房)ほか邦訳書多数。