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ジェームズ・スタネスク、ケビン・カミングス 編著 井上太一 訳/以文社 /四六判/320ページ
なぜ外来種を駆除しなければならないのか? 移民・外国人を排除・嫌悪するのはなぜか?脅威は「外」から来ると考えるのはどうしてか?
外来種を侵略者と読み替える「国境」の論理――それが生み出す、人間と人外の動物への「排外主義」とは何か。
「人新世」や「多元的存在論」など、人間と自然の関係を再検討する諸概念・研究を手がかりに、既存の外来種論の見直しを図る人文社会科学からの応答である。
目次
種が侵略者となるとき
いと(わ)しい存在の管理を超えて
外来種生態学、あるいは、存在多元論の探究
客か厄か賊か ― 種に印づけられた倫理と植民地主義による「侵略的他者」の理解
ユダの豚 ― サンタクルス島の「野生化」豚殺し、生政治、ポスト商品物神
帰属の大活劇 ― 多種世界における市民権の非登録化
よそ者を迎えて ― 繁殖の脅威論と侵略種
楽園と戦争 ― アルド・レオポルドと復元生態学におけるレトリックの起源
根無し草の根を育てる ― ピーター・ケアリーの『異星の快楽』にみられる侵略種と不気味な生態系
原注
参考文献
訳者あとがき
ジェームズ・スタネスク
アメリカン大学(ワシントンDC)非常勤講師(哲学)。道徳哲学、社会倫理、地球倫理の講義を担当。大陸哲学、プラグマティズム、脱植民地主義の伝統が生んだ研究成果にもとづく環境・動物哲学を主たる探究領域とする。批判的動物研究の分野で多数の論文を発表しているほか、ブログCritical Animalを執筆。
ケビン・カミングス
マーサー大学コミュニケーション研究学部の教授・学部長、女性・ジェンダー研究学部の兼任教員。人工知能、侵略種、ツイッターの研究など、レトリックとメディアの接点を探究。NEH、AT&T、国際ディベート教育協会より奨学金を受ける。論証研究における過去の著作はControversia やCritical Problems in Argumentationで取り上げられる。最近年の発表としては、The Handbook of Media and Mass Communication TheoryおよびCommunication and Control に掲載された共同執筆の章で、それぞれ、ツイッター時代の市民権と消費、チャットボット(自動会話プログラム)と癒し労働を論じた。
井上太一 (イノウエ タイチ)
翻訳家。日本の動植物倫理・環境倫理を発展させるべく、関連する海外文献の紹介に従事。
訳書:デビッド・A・ナイバート『動物・人間・暴虐史』(新評論、2016年)
マイケル・A・スラッシャー『動物実験の闇』(合同出版、2017年)
ゲイリー・L・フランシオン『動物の権利入門』(緑風出版、2018年)ほか、多数。
ホームページ:「ペンと非暴力」(https://vegan-translator.themedia.jp/)