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監督:黒川芳正/120分/1987年制作
この映画は、「東アジア反日武装戦線」”サソリ”のメンバーであり、無期懲役の確定した黒川芳正が、獄中から発したイメージをまとめた作品である!
1975年5月19日、雨の朝、娘や息子たちが一斉に逮捕された。
「東アジア反日武装戦線」としての娘や息子たち。
彼らは、なぜ、爆弾を炸裂させたのか?切に解ろうと思った時から変化が始まる。
軍国主義教育に染められ、戦争への道をひた走ったあの時代の自分。捉え返さないわけにはいかない。
幾千万ものアジアの人たちを掠奪し、殺戮した日本国。
その侵略への呵責を背負って起き上がった彼ら。
昭和天皇を爆殺しようと試み、侵略企業を爆破した彼ら。
獄中無期懲役を求刑されていた黒川はこの作品を指示し監督した。
「天皇制とは純粋に家父長制の権化であるのではなく、同時に女性原理の権化としてある」ことを証明し、「日本的母の現像を批判的に検証する」というテーマに向けて映画製作は進む。
大道寺将司の母や黒川の母は、息子たちの犯した事件の原因をわかろうとし「天皇制」について学習するようになり、益永利明の母は事件以降、自ら進んで「養母」となった。そこには天皇制の社会の中で育ち加害者となった自身への反省があった。
それぞれ事件によって重い負荷を心に背負いながらも、冷静に現状を受け止め、今では「死刑廃止運動」や、裁判闘争の先頭に立つ母たちの姿。時に感情に流れそうなインタビューを異化するような寸劇やパフォーマンス映像を挟み、”狼”の大道寺将司の原体験の北海道の風景を挟みながら、「母たち」は素直な感情を語る。
「日帝本国人としてしか生きれなかった、おのれ自身への自己憎悪のパトス」という告白とともに映画は終わる。
監督:黒川芳正
制作:「母たち」制作委員会
撮影:佐々木健・黒川純・大島俊一
編集・照明:佐々木健
インタビュー・録音:鈴木かつ子
テープ編集:大熊亘
音楽:L-T UNUT2
宣伝:岡本伊津子
2019年DVD制作・販売:キノ・キュッヘ