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アルジュン・アパドゥライ 著 中川理、中空萌 訳/以文社/四六判 上製カバー装/296頁
国民国家の枠組みを超える、現代の金融市場を成り立たせるものとは何か。
著者である人類学者アパドゥライは、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』、エミール・デュルケームの『宗教生活の基本形態』などの資本主義研究及び儀礼研究の古典をひもときながら、現代金融市場の論理を分析する。
市場の「装置」と「エートス=不確実性の想像力」のずれに着目し、グローバル金融とデリバティブの論理に抗する「進歩的分人主義」の可能性を探求する、人類学的考察。
目次
序 文
第一章 約束型金融の論理
第二章 企業家の倫理と金融主義の精神
第三章 金融機械のなかの幽霊
第四章 聖なる市場
第五章 社会性、不確実性、儀礼
第六章 カリスマ的デリバティブ
第七章 分人の富
第八章 金融のグローバルな野望
第九章 契約という約束の終わり
【訳者解説】不確実性の人類学のために
アルジュン・アパドゥライ
1949年,インドのボンベイ(現在のムンバイ)生まれ.シカゴ大学大学院博士課程修了,PhD.シカゴ大学,イェール大学などで教鞭を取り,現在,ニューヨーク大学メディア・文化・コミュニケーション学教授兼IPK(Institute for Public Knowledge)のシニア・フェロー.また,アメリカ芸術科学アカデミーの研究員を務める.専門は文化人類学,南アジア地域研究,文化理論.主な訳書に門田健一訳『さまよえる近代――グローバル化の文化研究』(2004年,平凡社),藤倉達郎訳『グリーバリゼーションと暴力――マイノリティーの恐怖』(2010年,世界思想社)がある.
中川 理 (ナカガワ オサム) (翻訳)
1971年徳島県生まれ.大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程単位取得退学.博士(人間科学).現在,立教大学異文化コミュニケーション学部准教授.専門は,文化人類学.主な編著に,松村圭一郎/中川理/石井美保(編著)『文化人類学の思考法』(2019年,世界思想社),石井正子/中川理/マーク・カプリオ/奥野克巳(編著)『移動する人々:多様性から考える』(2019年,晃洋書房)などがある.
中空 萌 (ナカゾラ モエ) (翻訳)
1983年東京都生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).現在,広島大学大学院国際協力研究科講師.専門は,文化人類学,科学技術社会論.著書に『知的所有権の人類学:現代インドの生物資源をめぐる科学と在来知』(2019年,世界思想社)がある.主な論文に,2019 Making “Pluralistic” Health Systems: Documentation of “Folk” Ayurvedic Knowledge, In Local Health Traditions: Plurality and Marginality in South Asia, edited by Mishra, Arima, 189-207. Orient BlackSwan. などがある.