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鵜飼哲、酒井直樹、テッサ・モーリス=スズキ、李孝徳 著/以文社/四六判/320頁
人種主義(レイシズム)が立ち現れる現場は、ある社会的な関係が人体の特徴などを通して反照し、私と他者の自己画定(アイデンティティ)を同時に限定する ときである。この投射されたアイデンティティ・ポリティックスは現代のあらゆる社会関係に随伴する。本書は、この視点から、近代化とグローバル化で不透明 化された現代を読み解く壮大な試みである。
【目次】
レイシズム・スタディーズへの視座 酒井直樹
移民を拒否するアイデンティティ・ポリティックス
科学的人種主義から文化主義的人種主義へ
近代国際世界の成立と「西洋」
東アジア国際世界における主権国家と国体
「一視同仁」:全体化と個人化の総合
平等と人種主義
人種主義と植民地主義
人種主義と知識
帝国の喪失以降の日本の状況
西洋と文明論的転移(トランスフェランス)
人種主義には実定的な外部は存在しない
グローバル化されるレイシズム テッサ・モーリス=スズキ
レイシズムの定義
グローバル化の背景
典型的なフレーズ
オランダ極右のメディア利用
オーストラリアの人種差別的暴動とラジオ
在特会の映像詐術
レイシズムへの対抗策
移民/先住民の世界史 イギリス、オーストラリアを中心に
テッサ・モーリス=スズキ(聞き手:李孝徳)
イギリスからオランダ、ソ連、日本、韓国、オーストラリアへ
イギリスの移民問題
労働運動における人種問題の不可視化
イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、オーストラリアの白豪主義と移民問題
アポリジニとオーストラリア社会
アイヌと日本
多文化主義、教育とメディア
差別と政治
ヨーロッパの普遍主義と人種差別
共和主義とレイシズム フランスと中東問題を中心に
鵜飼哲(聞き手:李孝徳)
アラブ・ナショナリズムから「イスラム原理主義」へ
フランスの異邦人
アフリカとイスラム
移民と郊外
「ブールの行進」とSOSラシスム
ユダヤ系知識人の変貌
ルナンの国民概念の陥穽
「人間」主義とレイシズム
人間性の尊重・平等・同化
イスラムと近代
西洋にとってのユダヤ・イスラムと、日本にとっての朝鮮、中国
日本のレイシズムと学術人類館
近代化とレイシズム イギリス、合衆国を中心に
酒井直樹(聞き手:李孝徳)
人種差別の現場に立ち会う
差別の不可視化
マルクス主義と人種問題
移民法と対日戦争
地域研究のまなざしの構造
地域研究と比較文学の新しい流れ
被害者を加害者に追い込む暴力
ルサンチマンによる政治の再構成
反面教師としての日本
田辺元の人種主義批判と帝国的国民主義
新しいレイシズムと日本
鵜飼哲 X 酒井直樹 X テッサ・モーリス=スズキ X 李孝徳
レイシズム分析の射程
日本のポストコロニアル
血統主義と生地主義
血統主義と生物的レイシズム
戦前日本の人種主義体制
国民の資格
日本の移民政策の現状
国民意識と人種主義
戦後世界の移民政策
国籍と戸籍、日英比較
帝国の喪失と忘却
レイシズムの多様性
多文化主義の難しさ
「市民運動」としての在特会
被害者意識と差別
中国へのルサンチマン
「歴史による権利」「労働による権利」
反レイシズムと法律
国民国家論以後の学問状況
辺境から眺める
レイシズムの構築 エティエンヌ・バリバール 佐藤嘉幸 訳
用語解説