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中村隆之著/共和国/四六変型判/224ページ
第二世界、それは絶望で覆われたこの現実世界に、なお夢見ることを忘れない人々の不屈のヴィジョンだ。世界各地のさまざまな本や表現から、新たな生の場所を〈発見〉する。そのときどんな地図が浮かび上がるだろうか――。シャモワゾーやグリッサンらカリブ海の作品。レイシズムが蔓延するアメリカ文化。目取真俊や崎山多美らの沖縄の文学。そしてコレット・マニーのブルーズ……絶望にあらがう多彩な表現を手がかりにした旅の記録。定価2500円+悪税
目次
0 第二世界は存在する
第I部 場所
1 反復される川の記憶
2 カリブ海の移動と交流
3 アフリカの魂を探して
4 アメリカのニグロ・スピリチュアル
5 ファトゥ・ディオムの薄紫色
6 レザルド川再訪
7 レイシズムのアメリカ
第II部 境界
1 絶対的暴力の牢獄
2 分からなさの向こう側を想像する
3 岩手県の幻冬小説
4 文明のなかの居心地悪さ
5 アパルトヘイト終焉期を撮る
6 テロルという戦場
7 ディストピア小説に映し出される近未来
第III部 生
1 ジャン・ベルナベ(一九四二―二〇一七)
2 パスカル・カザノヴァ(一九五九―二〇一八)
3 フランソワ・マトゥロン(一九五五―二〇二一)
4 ヤンボ・ウォロゲム(一九四〇―二〇一七)
5 東松照明(一九三〇―二〇一二)
6 ジャック・クルシル(一九三八―二〇二〇)
7 コレット・マニー(一九二六―一九九七)
第IV部 交響
1 アナキズムと詩的知恵
2 口頭伝承と神話的思考
3 フランス国立図書館と作家研究
4 ニューカレドニアの民族誌
5 震えとしての言葉
6 野生の思考と芸術
7 詩人たちの第二世界
あとがき 第二世界の地図作成のために
中村 隆之 (ナカムラ タカユキ)
1975年、東京都に生まれる。フランス語圏の文学、批評、翻訳。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在は、早稲田大学法学学術院教員。
おもな著書に、『魂の形式―コレット・マニー論』(カンパニー社、2021)、『野蛮の言説―差別と排除の精神史』(春陽堂書店、2020)、『エドゥアール・グリッサン―〈全‐世界〉のヴィジョン』(岩波現代新書、2016)、『カリブ‐世界論―植民地主義に抗う複数の場所と歴史』(人文書院、2013)など多数。
おもな訳書に、アラン・マバンク『アフリカ文学講義―植民地文学から世界‐文学へ』(共訳、みすず書房、2022)、『ダヴィッド・ジョップ詩集』(夜光社、2019)、エドゥアール・グリッサン『フォークナー、ミシシッピ』(インスクリプト、2012)など多数。