小松川叙景

4243

小松川叙景  (4243)

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小林 坩堝 著/共和国/A5変型判 上製/104ページ

 

詩集『でらしね』(思潮社、2013)で鮮烈にデビューした詩人の最新作品集。2020年~21年に『アナキズム』紙などに連作として掲載され、大きな反響を呼んだ表題作に、書き下ろし詩篇および著者撮影の写真を加えて、待望の単行本化。見慣れた町のひずみを切り裂き、言語によって一変させる黒の詩群。

 

川向うからこちらへ電車の走って来る音が聴こえる。微振動する窓の外で朝がはじまってゆくとき、わたしはまだ暗い部屋に座して、川原で拾った石を並べている。ひとつひとつに名前をつけ、接続しえない無数の人生を想う。この部屋は磁場が狂っている。この部屋は時空が混濁している。きちがいのわたしは石を叩き割り、断面から血の流れだすことを期待する。重化学工業地帯の労働者たちが視なかったほうの夢がわたしの錯乱した今日だ。夢を叩き割ることは出来ない。ただ錆びだらけの時間のなかで、わたしはコンクリートで固められた地上を撫ぜている。故知れぬ、否、故を無視したが故の笑いがわたしの断面から溢れ出てやまない。
―「NOWHERE」より

 

目次

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五月
六月
七月
八月
九月

NOWHERE
十月
十一月
十二月
一月
二月

NOWHERE
三月
四月

 

小林 坩堝 (コバヤシ カンカ)
1990年生まれ。詩作者。詩集『でらしね』(思潮社、2013)のほか、小詩集に『風船』(企画カニエ・ナハ、2015)、『エンド・ロール』(archaeopteryx、2017)がある。

 

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