海賊ユートピア―背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界

2907

海賊ユートピア―背教者と難民の17世紀マグリブ海洋世界  (2907)

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ピーター・ランボーン・ウィルソン 著 菰田真介 訳/以文社/四六判並製/304頁

 

海賊たちは、いまだにわれわれと共にある!

17世紀の北アフリカ、そこにはキリスト教の背教者=海賊たちが生み出した共和国があった。イスラームに魅せられ独自に進化した「裏切り者たち」のコミュニズムとアナキズム、その先駆的かつ躍動的な文化・統治・生を、「社会レジスタンス」の可能性として現代に鮮やかに蘇生させる、「危険な物狂いたち」のための反社会宗教史。伝説の書『T.A.Z.一時的自律ゾーン』のハキム・ベイが別名義で解き放つ、惜しげない「真の贅沢」に向けた「荒ぶる航海」!

本書は、海賊史のなかでも、近代を準備しイギリス・スペインの覇権を支えたような海賊たちではなく、17世紀モロッコの、サレーラバト地域を拠点とした海賊、主にキリスト教からの背教者、あるいはそこから迫害された人々に焦点をあて、またそれが著者の先駆的な歴史の掘り起し作業(手法)とも相侯って、極めてユニークな本となっていると思います。
本書の帯文には、そうした海賊のマイナー性を名指し、「裏切り者」、「危険な物狂い」といった物々しい言葉が並んでおりますが、本書のもう一つのテーマとして昨今もてはやされる“流動化”が、一方で社会や個々人の硬直化をもたらすようなジレンマが続くなか、“社会的遠心力として海賊的パッション”をいかに現代においても想像(=創造)しうるのか、ということを、著者をはじめ、訳者、編集側からの問題提起として込めました。
他に類を見ない博識をもつランボーン・ウィルソン(ハキム・ベイ)の世界をぜひお楽しみ下さい。

 

【目次】
荒ぶる航海
海賊とマーメイド
トルコ人になったキリスト教徒
暗殺による民主主義
チンピラ連中
チュニスの雪花石膏宮殿(アラバスター)
サレーのムーア人共和国
ムラド船長とボルティモア略奪
海賊カレンダー
海賊ユートピア
「厄介なトルコ人」と呼ばれたオールド・ニューヨークのムーア人海賊
――クリストファー・ヒルを追慕して

訳者解題 ラバト・サレー海賊の反社会的可能性

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