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las barcas/A4変型/109ページ
今回刊行された第二号には、阪田清子による「例えば一つの部屋」、鷹野隆大の「モノクロ写真」、仲宗根香織の「Unknown」、山城知佳子の「黙認のからだ」、港千尋の写真作品とエッセイ「アニミズム―もうひとつの時代」、根間智子「鳥の巣」という六名の写真家、現代美術家の写真作品が収録されています。
また鷹野隆大と新城郁夫は8ページにわたる対談「範囲を持たぬ影たちは、国家統治の作用点から逃れ去る」で写真と社会との接点を探求します。ここで二人は新自由主義に加えて震災を経験した社会において、写真家の皮膚とフィルムという皮膚が、いかにして朽ち果てていく風景と身体を受け取ることができるのかをめぐって対話を行います。
尾形希和子は阪田清子、山城知佳子、仲宗根香織、根間智子の写真や映像作品における親密でありながらも見慣れない”unheimlich(ウンハイムリッヒ)”な感覚について論じ、親川哲は写真を見る人が感じる「ぶれ」や「距離」の感覚の持つ倫理性について思考します。キュレーターの岡田有美子と映画祭プログラマーの濱治佳は、経済的困難にあるキューバという場所におけるアートと映画の可能性を見つめながら、沖縄、山形、フィリピンなど様々な場所での取り組みと結び付けて言葉を交わします。
井上間従文は1960年代に主に活躍した詩人清田政信が米軍統治とベトナム戦争双方への抵抗のあり方として記述した「オブジェ」「渚」「石」といった諸イメージが示唆する不可視の共同性のあり方を論じ、吉田裕はイギリスの劇作家キャリル・チャーチルの作品『七人のユダヤ人の子どもたち』において植民者という主体性が崩壊するとともに開かれる新たな社会性に分析と批評の目を向けます。
<目次>
阪田 清子 例えば一つの部屋
鷹野 隆大×新城 郁夫 範囲を持たぬ影たちは、国家統治の作用点から逃れ去る
鷹野 隆大 モノクロ写真
尾形 希和子 言語の海で
吉田 裕 占領者の自我が崩壊するとき—キャリル・チャーチル「七人のユダヤ人の子供たち」をめぐって
仲宗根 香織 Unknown
井上 間従文 石たちの「共感域」—一九六〇年代の清田政信における「オブジェ」たちの共同性
親川 哲 「僕のカラダの2、3の独り言」
岡田 有美子⇔濱 治佳 Cimarcus往復書簡
山城 知佳子 黙認のからだ
新城 郁夫 喪失を取り戻すために
増田 良平 飛行機男
港 千尋 アニミズム—もうひとつの時代
根間 智子 鳥の巣