生きるためのサッカー―ブラジル、札幌、神戸 転がるボールを追いかけて

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生きるためのサッカー―ブラジル、札幌、神戸 転がるボールを追いかけて  (2752)

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ネルソン松原 著/サウダージ・ブックス
 /四六判ソフトカバー/240頁

 

▶ブラジル・日本サッカー交流史をめぐる貴重な証言を収録した著者初の自叙伝!

日系ブラジル人二世のサッ力一指導者である著者は、セルジオ越後、ラモス瑠偉らとともに、J リーグ発足以前の日本サッ力一界に“ブラジル・サッ力一” を伝授。”フットサル”をはじめて日本に紹介した立役者のひとりとしても知られる。教え子には京都サンガF.C. 元日本代表の山瀬功治ら。

▶プライドと信念を貫いたサッカ一指導者の感動秘話!

母国ブラジルとのサッ力一文化の違いを受け入れながら日本でキャリアを積み、阪神淡路大震災やクラブチームの経営不振などのさまざまな難局を、「生きるためのサッ力一」への情熱によって乗り越えていく。サッカーファンや指導者はもちろん、先行きの見えない人生に思い悩むすべての人に捧げる”不屈”の男のライフストーリ-。

 

序文

転がるボールを追いかけて

フィールドの上をボールが転がる。それを追いかけてゴールを目指す。サッカーはとてもシンプルなゲームだ。

そのボールは何でできてる? 牛の革だ。フィールドには何が生えてる? 緑の芝だ。だからボールを転がせ。大地をゆく牛が、草を食べるように。パスはフィールドを這わせろ。それが自然だ。サッカーとはそういうものなんだ。

ブラジルにいた若い頃、そんなたとえ話を聞いたことがある。どこでだれに聞いたかは忘れてしまったけれど、なるほどサッカーの原点を語っている。ぼくは深く納得して、胸に刻んだ。世界にはいろんなスタイルのサッカーがあるけれど、ぼくの理想はそこにある。サッカーを人に教えるようになってからも、よくこの言葉を口にする。

北海道にルーツを持つ日系二世としてブラジルに生まれたぼくは、ボールを追いかけて育った。路上で、空き地で、学校の片隅で。教会や地域のクラブのグラウンドで。夢中になってボールを追いかけるうちに、海を渡っていた。父祖の国である日本へと……

 

目次

序文 転がるボールを追いかけて

第一章 はじまりのサッカー ――サンパウロ

第二章 家族の中の移民史

第三章 ブラジルから来た留学生 ――札幌

第四章 ぼくはやっぱりサッカーをやりたい

第五章 指導者という生き方 ――札幌〜倉敷

第六章 傷つき、立ち上がる街で ――神戸

第七章 生きるためのサッカー ――二つの国を生きて

関連年表

解説=小笠原博毅 ボールに導かれる旅

 

著者略歴

ネルソン 松原
サッカー指導者。1951 年ブラジル・パラナ州ロンドリーナ生まれ。2 歳の時にサンパウロに移る。1973年から75年、日本ではじめてのブラジル人サッカー留学生として札幌大学に留学。この間、フットサルの普及活動やルールブックの翻訳にも携わる。ブラジルに帰国しサント・アンドレ体育大学を卒業後、スポーツ関連の仕事に就く。1988年に札幌のサッカー指導者として再来日。その後、川崎製鉄サッカー部ヘッドコーチ、ヴィッセル神戸ユースコーチおよび監督を歴任。サッカー日本代表やJリーガーを含む数多くの選手を育成した。現在は、神戸スポーツアカデミーで市民にサッカーやフットサルを指導するかたわら、NPO法人・関西ブラジル人コミュニティのスタッフもつとめる。

松本 創
1970年生まれ。神戸新聞記者を経て、フリーランスのライター/編集者。関西を拠点に、政治・行政、都市や文化などをテーマに取材し、人物ルポやインタビュー、コラムなどを執筆している。著書に『ふたつの震災―[1・17]の神戸から[3・11]の東北へ』(西岡研介との共著、講談社、2012)。

小笠原 博毅
1968年生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部博士課程修了。社会学PhD。研究テーマはスポーツにおける移動と人種差別の文化。共編著に『サッカーの詩学と政治学』(人文書院、2006)、編著に『黒い大西洋と知識人の現在』(松籟社、2009)など。現在神戸大学大学院国際文化学研究科教員。

 

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