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藤原辰史(著)/生きのびるブックス/四六判 並製/240ページ
人間の内なる植物性にむけて――
はたして人間は植物より高等なのか?
植物のふるまいに目をとめ、歴史学、文学、哲学、芸術を横断しながら人間観を一新する、スリリングな思考の探検。
目次
◆第1章 植物性
植物と人間の違い
植物性
植物は動かないのか
炸裂
人間の根と葉
◆第2章 植物的な組織
出町柳の根性松
植物の知性について
マンクーゾの描く植物的な未来
植物的な政治?
評価機構なき組織化
マンクーゾを超えて
◆第3章 大気のクリエーター
コッチャの「植物の哲学」
枯葉剤
大気と太陽
浸り
「浸り」を買う時代
◆第4章 植物の舞踏―ブロースフェルトの『芸術の原形』に寄せて
ブロースフェルトの写真
ベンヤミンの評価
建築物としての植物
彫刻作品としての植物
踊りとしての植物
『芸術の原形』が教える植物論
◆第5章 根について
起死回生
根の形態
植物恐怖症
ハンナ・ヘーヒ
立てこもる庭
ヘーヒの植物の絵の特徴
嵐の時代の根毛
◆第6章 花について
花束について
劇場としての花
理性としての花
◆第7章 葉について
「モンステラ王」
裂ける葉
食べられる葉
飛翔できない鳥
植物性の青い針
葉のない植物
冷却装置としての葉
ゲーテにとっての葉
教訓詩「植物のメタモルフォーゼ」
空気間隙
植物の多孔性
◆第8章 種について
種とはなにか
種と風船
植物と歴史学
植物と帝国主義
『植物と帝国』
種に振り回される人間の歴史
バジルの慈悲
『種蒔く人』のなかの植物
理草花
思想を食べる
吸水と酵素
血と土を超えて
◆第9章 「植物を考える」とはどういうことか
植物らしさの在処
完全菜食主義者の「植物中心主義」批判
植物の権利
植物の美
植物を食べること
スキン・プランツ
あとがき
花粉症、枯葉剤、人新世、戦争と暴力…。ありうべき人間と植物の未来をさぐるエッセイ。
「近代社会は、移動せよ、動け、休むな、と人間に要請しつづけてきた。『移動の自由』という監獄の中でもがいているともいえるかもしれない。縛り付けられるのではなく、動きつづけるのでもない、土地や太陽との付き合い方はないのだろうか。ひょっとすれば、動きすぎることもなく、止まりつづけることもなく、風と光と土を直接に感じ取る植物のふるまいに、それを探るための鍵が隠されているかもしれない」(本文より)
藤原辰史 (フジハラ タツシ) (著)
1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)で日本ドイツ学会奨励賞、2013年、『ナチスのキッチン』(水声社/決定版:共和国)で河合隼雄学芸賞、2019年、日本学術振興会賞、『給食の歴史』(岩波新書)で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』(青土社)でサントリー学芸賞を受賞。著書に、『カブラの冬』(人文書院)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館)、『食べること考えること』(共和国)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『食べるとはどういうことか』(農山漁村文化協会)、『縁食論』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究』(創元社)、『歴史の屑拾い』(講談社)ほか。共著に『農学と戦争』、『言葉をもみほぐす』(共に岩波書店)、『中学生から知りたいウクライナのこと』(ミシマ社)などがある。