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ジェン・ペリー著 坂本麻里子訳/ele-king books/四六判/256ページ
アナーキー&フェミニズム
ピッチフォークの編集者が愛を込めて描く、世界最初の女性パンク・バンドの物語。
1979年、ロンドンのスクワット(不法占拠)から生まれた、ポルトガル人、スペイン人、そしてイギリス人の女性たちによるポスト・パンク・バンド、ザ・レインコーツ。マルクス主義とフェミニズム思想の影響をもってオープンしたレコード店〈ラフトレード〉におけるレーベル部門からデビューした彼女たちの音楽は、当時ジョン・ライドンがもっとも評価したバンドであり、カート・コベインがそのレコードを買うためにメンバーが働いていたアンティック・ショップにまで足を運ぶほどの熱烈なファンだったことでも知られる。滅多に取材をしないアメリカの大物評論家のグリール・マーカスが渡英してまで取材したバンドであり、そして、その後のすべての女性ロッカーたちを勇気づけたバンドだった。70年代のフェミニズム思想とアナキズムをくみ取り、歴史を変えたそのデビュー・アルバム『レインコーツ』において、男性パンクにはできないことをやってのけたバンドの物語を『ピッチフォーク』の編集者が膨大な資料と実際の取材をもとに、人文知を駆使して描く。未来のためにも、まさにいま読むべき一冊だ。