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高橋新吉著 松田正貴編/共和国/四六変型判/264頁
「ダダは一切を抱擁する。何者もダダを恋する事は出来ない。」
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現実と内面、正気と狂気のあわいを超えた、詩的言語の実践。『ダダイスト新吉の詩』(1923)によって一挙に《現代詩》を到来させた日本最初のダダイスト、高橋新吉。虚無思想と禅を基盤とし、時代と社会を超越した14編のほか、解説および略年譜を収録する。
目次
ダガハジ断言 Is Dadaist
高橋がダダ新吉になる瞬間:解説1
桔梗
宇和島の闘牛
神は熟睡したもう
預言者ヨナ
狂気をどう語るのか:解説2
亡ぶる家の豚
不気味な運動
仏教
乞食夫婦
ヴィニイ
悲しき習性
高橋新吉 略年譜
生蝕記 或る浮浪人の日記
ダダイストの睡眠
焔をかかぐ
いま高橋新吉をどう読むか:解説3
編者あとがき
初出一覧
前書きなど
高橋新吉 頌
彼は明治大正を通じて芸術史上に於ける著しく特異な個性である。(佐藤春夫)
彼はダダの精神を最初に最も強く、深かく把握した日本に於ける先覚者だ。(辻潤)
僕は貴兄を結果的にというよりも過程的に見て大好きなのです。(中原中也)
高橋新吉の詩人としてのえらさは,彼の詩の背景に禅があったり、ダダがあったりするからではない。むしろそんなものは彼の詩的天才に害毒にさえなる。(西脇順三郎)
高橋 新吉(タカハシ シンキチ)
1901年、愛媛県に生まれ、1987年、東京都に歿する。八幡浜商業学校を中退後、上京、放浪する。1920年、小説「焔をかかぐ」でデビュー。1923年、詩集『ダダイスト新吉の詩』(中央美術社)によって現代詩を切り拓き、その後も仏教と虚無思想を基盤とした独自の世界観を展開する。
詩集に、『高橋新吉詩集』(1928、南宋書院)、『霧島』(1942、邦画社)など、小説に、『狂人』(1936、学而書院)、『潮の女』(1961、竹葉屋書店)など多数がある。
松田 正貴(マツダ マサタカ)
1974年、大阪府に生まれる。大阪電気通信大学講師。専攻は、モダニズム文学。
共著に、杉村昌昭+境毅+村澤真保呂編『既成概念をぶち壊せ!』(2016、晃洋書房)、訳書に、マウリツィオ・ラッツァラート『記号と機械』(杉村昌昭と共訳、2015、共和国。新装版=2016)、アーサー・J・バックラック『ニューメキシコのD・H・ロレンス』(2014、彩流社)などがある。