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ベンジャミン・フランクリン著 鶴見俊輔訳/土曜社/ペーパーバック版/272ページ
アメリカの町の印刷屋のおじさんの話
植字工として世に出たフランクリンは、持ち前の植字・印刷術と文筆の力量をもとに印刷業から新聞、出版へと事業を広げ、さらに社会改良へと乗り出していく。人任せを嫌い、実務をいとわぬ「善きアメリカ人」の母型を伝える18世紀の古典を、弱冠15歳で渡米し、戦前の米国を知る数少ない哲学者・鶴見俊輔の翻訳でおくる。
目次
自 伝
自伝の続稿
解 説(鶴見俊輔)
『貧しいリチャードの暦』から
憲法会議における演説
年 譜
三つの自伝(小田実)
あ と が き(鶴見俊輔)
鶴見俊輔 〈つるみ・しゅんすけ〉
哲学者。1922年、東京に生れる。42年、ハーヴァード大学を卒業。交換船で帰国。戦中は海軍軍属としてジャカルタで勤務。戦後、46年に雑誌『思想の科学』を創刊。59年〜62年『共同研究・転向』全三巻を発表。60年、強行採決・安保改定に反対し、「声なき声の会」に参加。65年、小田実らと「ベ平連」を結成し、ベトナム戦争に反対。米軍脱走兵支援を開始。著書『戦時期日本の精神史』、『期待と回想』ほか。
十八世紀のアメリカの町の八百屋のおばさん、肉屋のおじさんがくつろいで話す時に、こういうことを教えてくれただろうと思うような人生の知恵をフランクリン自伝は、私たちにあたえる
鶴見俊輔
デール・カーネギーは、ある晩教室で一冊の本を手にしながら、「すべての人がこの本を読むといいんだが。しかも数回読みかえせばね……」と語りだした。本の名は『ベンジャミン・フランクリン自伝』といった
フランク・ベトガー『熱意は通ず』より
去年の今頃はフランクリンの自叙伝を日課のように読んだ。横文字の小さい字はことに読みなれんので三枚読んではやめ、五枚読んではやめ、苦しみながら読んだのであるが、得た所の愉快は非常に大なるものであった。費府(フィラデルフィア)の建設者とも言うべきフランクリンが、その地方のために経営していく事と、かつ極めて貧乏なる植字職工のフランクリンが一身を経営していく事と、それが逆流と失敗との中に立ちながら、着々として成功していく所は、何とも言われぬ面白さであった
正岡子規『病牀六尺』より
およそ、私はフランクリンと正反対の人間なので、かえって、興味があるのかもしれない
小田実