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田中ひかる編/皓星社/A5判 並製/183ページ
格差、分断、差別、そして不自由を強いられる日常のなかで、私たちはどう生き、将来をどう思い描いたらいいのか。
「支配がない状態」をつくりだすアナーキーな思考と実践を手がかりに、みんなが生きやすい社会を構想し、自分らしい生き方を探る〝希望と解放〟の読書案内!
55のブックガイドと多彩なエッセイ・コラムのほか、編者による「アナキズムの歴史と現在」を収録。
目次
序章 今、なぜ、アナキズムなのか 田中ひかる
1 アナキズムへの招待 ~自由な生に誘う言葉たち
鶴見俊輔「方法としてのアナキズム」 那須耕介
戸田三三冬『平和学と歴史学――アナキズムの可能性』 田中ひかる
金子光晴『絶望の精神史』 金子 遊
ルース・キンナ『アナキズムの歴史――支配に抗する思想と運動』 田中ひかる
レベッカ・ソルニット『定本 災害ユートピア』 山本明代
緒方正人『チッソは私であった――水俣病の思想』 田中ひかる
シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』 山本明代
2 極私的アナキズム入門 ~もう一つの生き方を探る
石牟礼道子『完本 春の城』 姜 信子
中村きい子『女と刀』 斎藤真理子
辻潤『絶望の書 ですぺら』 金子 遊
伊藤洋志『ナリワイをつくる――人生を盗まれない働き方』 寺尾紗穂
竹中労+かわぐちかいじ『黒旗水滸伝――大正地獄篇』 東 琢磨
赤瀬川原平『東京ミキサー計画――ハイレッド・センター直接行動の記録』 真島一郎
3 アナキズムの夜明け ~今に息づく思想の原点
マックス・シュティルナー『唯一者とその所有』 松尾隆佑
ピエール=ジョゼフ・プルードン『貧困の哲学』 斉藤悦則
ミハイル・バクーニン『国家制度とアナーキー』 山本健三
幸徳秋水『帝国主義』 竹内栄美子
ピョートル・クロポトキン『相互扶助論』 田中ひかる
グスタフ・ランダウアー『自治‐協同社会宣言――社会主義への呼びかけ』 大窪一志
大杉栄『大杉栄評論集』 竹内栄美子
伊藤野枝『伊藤野枝集』 中谷いずみ
金子文子『何が私をこうさせたか――獄中手記』 内藤千珠子
エマ・ゴールドマン『エマ・ゴールドマン自伝』 海老原弘子
高群逸枝『女性解放論集――婦人戦線に立つ』 蔭木達也
4 アナキストの夢とその時代 ~戦前・戦中期の自由空間
多田茂治『大正アナキストの夢――渡辺政太郎とその時代』 大和田茂
小松隆二『大正自由人物語――望月桂とその周辺』 足立 元
向井孝『アナキストたち――〈無名〉の人びと』 冨板 敦
秋山清『ニヒルとテロル』 竹内栄美子
宮崎晃『差別とアナキズム――水平社運動とアナ・ボル抗争史』 関口 寛
寺島珠雄『南天堂――松岡虎王麿の大正・昭和』 竹内栄美子
犬田卯『日本農民文学史』 蔭木達也
近藤憲二『一無政府主義者の回想』 林 彰
山口守『巴金とアナキズム』 山口 守
5 戦後世界のアナキズム ~その思想と運動の軌跡
アルベルト・バーヨ『ゲリラ戦教程』 友常勉
大道寺将司『明けの星を見上げて――大道寺将司獄中書簡集』 山口守
水田ふう/向井孝『エェジャナイカ、花のゲリラ戦記』 冨板敦
ハキム・ベイ『T.A.Z. ――一時的自律ゾーン 存在論的アナーキー 詩的テロリズム』 真島一郎
ノーム・チョムスキー 『チョムスキーの「アナキズム論」』 木下ちがや
デヴィッド・グレーバー『アナキスト人類学のための断章』 田中ひかる
6 変革への道 ~世界と自分を変える方法
ミヒャエル・クナップ/アーニャ・フラッハ/エルジャン・アイボーア『女たちの中東 ロジャヴァの革命――民主的自治とジェンダーの平等』 北川眞也
ゼロカルカーレ『コバニ・コーリング』 北川眞也
アンドレス・ダンサ/エルネスト・トゥルボヴィッツ『ホセ・ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領』 飯島みどり
松本哉『貧乏人の逆襲! 増補版――タダで生きる方法』 田中ひかる
石川優実/インベカヲリ(写真)『#KuToo(クートゥー)――靴から考える本気のフェミニズム』 中谷いずみ
ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 岡野幸江
7 暮らしの中のアナキズム ~生活を変える小さな実践
ジェームズ・C・スコット『実践 日々のアナキズム』 田中ひかる
高井ホアン『戦前不敬発言大全――落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反天皇制・反皇室・反ヒロヒト的言説』
『戦前反戦発言大全――落書き・ビラ・投書・怪文書で見る反軍・反帝・反資本主義的言説』 高井ホアン
大谷悠『都市の〈隙間〉からまちをつくろう――ドイツ・ライプツィヒに学ぶ空き家と空き地のつかいかた』 田中ひかる
廣田裕之『社会的連帯経済入門――みんなが幸せに生活できる経済システムとは』 高橋巌
コリン・ウォード『現代のアナキズム』 後藤あゆみ
石井あらた『「山奥ニート」やってます。』 田中ひかる
鶴見済『0円で生きる――小さくても豊かな経済の作り方』 鶴見済
藤原辰史『縁食論――孤食と共食のあいだ』 藤原辰史
塩見直紀『半農半Xという生き方』 田中ひかる
パウロ・フレイレ『新訳 被抑圧者の教育学』 田中ひかる
終章 アナキズムの歴史と現在 田中ひかる
エッセイ 永野三智/荻原魚雷/山口 晃/卯城竜太
コラム 亀田 博/冨板 敦/松原秀晃/海老原弘子/古屋淳二
★アナキズムの言葉 戸田三三冬/大杉栄/秋山清/コリン・ウォード/エマ・ゴールドマン/鶴見俊輔
田中ひかる(たなか・ひかる)
1965年生まれ。明治大学法学部教員、社会思想史。著書に『ドイツ・アナーキズムの成立――『フライハイト』派とその思想』(御茶の水書房、2003年)、『社会運動のグローバル・ヒストリー――共鳴する人と思想』(編著、ミネルヴァ書房、2018年)、『近代ヨーロッパと人の移動――植民地・労働・家族・強制』(共編著、山川出版社、2020年)など。