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萩原恭次郎/共和国 /四六変型判/264ページ
関東大震災直後に詩集『死刑宣告』(1925)で世界を驚倒させたアナキスト詩人、萩原恭次郎(1899-1938)。その第2詩集にして生前最後の詩集『断片』(1931)にくわえ、これまで『全集』でしか読めなかった同時期の詩篇や論考・エッセイ、さらに『全集』未収録作品をふくむ41篇を初めて単行本化。
分裂するアナキズム運動の混迷期を経て、やがてファシズムへと傾斜するまでの臨界点すれすれの表現が、いまこの腐臭ただよう日本の現実に投げ込まれる!
同志の村木源次郎、古田大次郎を追悼する詩篇などのほか、本書を絶賛する萩原朔太郎の書評も収録。参考資料、年譜、解説などを附す。
目次
第1部:断 片
序詩
第一部
第二部
第三部
第四部
断片に対するメモ
第2部:自己への断片 詩文集
TOBACCOの袋に書いて山本勘助に送る詩
赤と黒
肺臓に刷られたるビラ三枚
君にも君にも君にも/君にも君にも君にも
●
多数者と我等!
昨日の部屋の入口に立つて戸を閉めろ!
断片
一分間の空想
黒旗は進む
断片として
断片
我等は自由自治の道一つである
詩に関する断片
漫談
兵卒
詩に関する断片
詩に関する断片
雑信
断片
詩雑感
詩に関する断片
雑
雑
雑
雑
雑
無題的断片
芸術断片
断片
断片
同志黄一甫
南葛を唄ふ
妻に来た手紙
市ケ谷風景
生産本位の芸術より消費本位の芸術生産へ
春浅き日の死
自己への断片
桑株にしばりつけろ
もうろくづきん[初出版]
帰郷日記
附録
日比谷 [初出版]
日比谷 [『死刑宣告』版]
萩原恭次郎 略年譜
詩集 断片を評す 萩原朔太郎
解説にかえて
無言が胸の中を唸つてゐる
行為で語れないならばその胸が張り裂けても黙つてゐろ
腐つた勝利に鼻はまがる
――「序詩」より
「僕は詩集『断片』の価値を裏書きしておく。今の若い詩壇と詩人が、もしこの詩集の価値を認めず、理解することが出来なかったら、この上もはや、僕は何物をも彼等に求めず、一切を絶望して引退するのみである。」
――萩原朔太郎
萩原 恭次郎 (ハギワラ キョウジロウ)
1899年、現在の前橋市日輪寺町に生まれ、1938年、同石倉町に没する。詩人、アナキスト。
1923年、壺井繁治、岡本潤、川崎長太郎と雑誌『赤と黒』を創刊、文壇に衝撃を与える。アナキズム文学運動の中心的存在として活躍し、『文藝解放』『黒旗は進む』『学校』などに寄稿。1932年、個人誌『クロポトキンを中心とした芸術の研究』創刊。以後、次第に農本主義に傾いた。
生前の詩集に、『死刑宣告』(長隆舎書店、1925)、『断片』(本書所収。溪文社、1931)、翻訳に『アメリカプロレタリヤ詩集』(共訳、弾道社、1931)がある。
没後、『萩原恭次郎詩集』(報国社、1940)、『萩原恭次郎全詩集』(思潮社、1968)、『萩原恭次郎全集』(全三巻、静地社、1980-82)などが刊行された。