学生に賃金を

2896

学生に賃金を  (2896)

販売価格(税込)
¥2,160
在庫状態 : 在庫有り

栗原康 著/新評論/四六判上製/248ページ

 

「賽銭箱に100円玉投げたら、つり銭でてくる人生がいい」。これは長渕剛の名曲「RUN」の一節だ。大学について、これほど的確にいいあらわしたことばはない。わたしはもう大学をでて5年になるが、おもっていることはただひとつだ。カネを返せ。おさないころから大学にいけば幸せになれるといわれ、そうかとおもっていってみれば、とんでもない授業料を請求される。しかも、学部四年かよってみてもぜんぜん幸せにならない。それではとおもい、大学院にもいってみたところ、状況はさらにひどくなる。さらに、カネがないなら奨学金があるよといわれ、もらってみればじつのところ、多額の借金。いまや635万円にふくれあがってしまった。カネ、カネ、カネ。地獄である。きっと、これはわたしのような院卒ばかりでなく、おおくの卒業生にもいえることだろう。ほんらい、大学とは幸せの賽銭箱みたいなものである。幸せをねがい、あればカネを投じるし、なければ両手をあわせて祈ればいい。仏はひとを差別しないし、見返りも期待しない。カネを投じたひとにも、両手をあわせたひとにも、なにもしなかったひとにも、つり銭がでてくるはずだ。そして、ひとの幸せに尺度はない。恋がしたい、酒がのみたい、おいしいものが食べたい、本がよみたい、おしゃべりがしたい。どんなことをねがってもいいわけだし、どんなねがいかたをしてもいいわけだ。幸せは、ふくらめばふくらむほどいい。大学には仏がいる。真実だ。でも、いまの大学は、「社会に役だつ人生」「役所や企業でのしあがる人生」だけが幸せなんだとウソをつき、大金をむしりとって、やれ就職だ、やれはたらけと、みんなを地獄におもむくように駆りたてている。まるで、仏ではなく、強欲な生臭坊主がいるみたいだ。どうしたらいいか。ヤッツケルしかない。本書では、そのための武器として「学生に賃金を」ということばを提示した。これほどまでの高学費は、なにを意味するのか。学生を借金漬けにすることで、だれが得をしているのか。そんな問いをひとつひとつ考えながら、まずはカネを返してもらうところからはじめよう。
(著者 栗原 康)

 

目次

はじめに 1

第1章◆大学無償化の思想……………………………………………………………9

学生に賃金を 9/アウトノミア運動―ヨーロッパの大学無償化 16/高等教育の機会均等 21 医師不足の解消 28/男女の進学格差 31/ショバ代をよこせ!―ベーシックインカム再考 34 財源はあるの? 38/出発点としての高校無償化 42

第2章◆奨学金地獄……………………………………………………………………46

ブラックリスト化問題 46/日本の大学授業料 49/日本の奨学金制度 53
財産の差し押さえ 57/奨学金は親不孝 59/返還猶予の条件は? 62
世界の高等教育①アメリカ 65/世界の高等教育②イギリス 67
世界の高等教育③ドイツ 69/世界の高等教育④スウェーデン 71 日本の奨学金制度の迷走↓暴走 73

【補論1 対談】院生問題―いま、「学生に賃金を」を考える(秋山道宏×栗原康) 79
【補論2 論考】大学賭博論―債務奴隷化かベーシックインカムか 95

第3章◆〈借金学生〉製造工場………………………………………………………113

大学紛争をうけて 113/政府が大学授業料を値上げした 116/〈借金人間〉製造工場としての大学 119 奨学金制度の貸金業化 127/債務者に賃金を 137

【補論3 論考】大学生、機械を壊す―表現するラッダイトたち 147

第4章◆悪意の大学……………………………………………………………………170

大学の病理的雰囲気 170/大学設置基準の大綱化 173/大学院重点化政策 176/都立大学の解体 178
非常勤講師の大量リストラ 181/早稲田サークル部室の撤去 184/東京大学の駒場寮問題 190 大人用処世術概論 194/悪意の大学 202

【巻末特別座談会】さよなら、就活! こんにちは、夢の大学!(渡辺美樹+大滝雅史+岡山茂+栗原康) 211

おわりに 229
大学はモラトリアムだ/21 世紀の怪物/じいちゃんの遺言/被曝学生、ゼロ地点にたつ

 

栗原康(くりはら・やすし)
1979年埼玉県生まれ。
東北芸術工科大学非常勤講師。
専攻はアナキズム研究。
著書に『G8サミット体制とはなにか』(以文社、2008年)、『大杉栄伝』(夜光社、2013年)などがある。

 

数量