杉並区長日記ー地方自治の先駆者・新居格

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杉並区長日記ー地方自治の先駆者・新居格  (3234)

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新居格 著/虹霓社/B6判 並製/272頁

 

◉戦後はじめて杉並区民が選んだ区長はアナキスト⁉
敗戦後の廃墟と混沌の中、日本一の文化村を目指して杉並区の初代公選区長に就任、政治・行政の旧弊打破に挑み、小地域からの民主主義を掲げた破天荒でユニークな〝アナキスト区長〟新居格。彼が目指した理想の地方自治とは。区長在任わずか1年、苦闘の記録が約40年ぶりに待望の復刊。

◉地方行政・地方自治の先駆者として
忘れられた文筆家・新居を、地方自治・地方行政、まちづくりの視点からの復権を試みた小松隆二氏(慶応大名誉教授)による渾身の書き下ろし小伝「〝地方自治・地方行政の鑑〟新居格の生涯と業績−典型的な自由人・アナキスト」ほか、ユートピアンであった新居の知られざる一面を当事者が綴った大澤正道氏によるエッセイ「新居格と「世界の村」のことなど」の2編を合わせて収録。

 

・(杉並)区には学者、文化人、知識人達が多く在住しているのであるから、わたしはゲーテや、シラーや、ヴィーラントやリストの住んでいたワイマールのような、芸術的香気の高い地区にしてみたいと夢みた。

・そうした夢の設計が、どの程度にまで実現するか、それともしないか、神様でないわたしには分からない。でも、わたしには夢みるものがあるのでなければ、わたしは区長なんかになっているのはいやだ。

・天下国家をいうまえに、わたしはまずわたしの住む町を、民主的で文化的な、楽しく住み心地のよい場所につくり上げたい。日本の民主化はまず小地域から、というのがわたしの平生からの主張なのである。(本文より)

 

新居 格(にい・いたる)
徳島県板野郡斎田(現鳴門市)生まれ。東京帝大卒業後、読売、大阪毎日、東京朝日の各新聞社で活躍。退社後、作家、評論家としての地位を築く。「左傾」「モボ」「モガ」などの造語を生み出す。1920年代半ばからアナキズム陣営の先頭で評論活動を行う。協同組合運動(生活協同組合で知られる賀川豊彦は従兄弟)にも実践的に関与したほか、バール・バック『大地』の翻訳など。時代が悪化する中でも、できる限り戦争協力は避け、あえて街や市井の人の暮らしなどの日常を描き、ささやかな抵抗を試み続けた。
戦後すぐ東京都西部生活協同組合連合会の会長に就任。47年には日本一の文化村を目指して杉並区長に立候補し当選。しかし健康がすぐれず、また区議会や行政に失望してわずか1年で辞任。51年に脳溢血のため永眠。享年63。

 

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