残響のハーレム

3036

残響のハーレム  (3036)

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中村寛[著]/共和国/菊変型判並製/468頁

 

9.11直後のニューヨーク、その最深部に低く響くさけび、そしてうめき。

2002 年晩秋、フィールドワークに訪れたNY・ハーレム地区で僕が出会ったのは、マルコム・X 暗殺の容疑者だった……。差別や貧困、暴力が根強く残る都市の日常をみずみずしい文体で活写した、気鋭の人類学者によるエスノグラフィ。

 

目次

プロローグ

第1章 誰が「黒く輝ける王子」を殺さなかったのか──カリルの生とFBIの影

第2章 ストリートのニーチェ──アリの闘いと純白のアーカイヴ

第3章 116丁目ストリートのスケッチ──ハミッドの「あるく、みる、きく」

第4章 理想郷のつくりかた──ハーレムとコロンビア大学との境界

第5章 先送りされるコミュニティ──アブドゥッラーの夢とディレンマ

第6章 ムスリマの世間──21世紀の問題とアイシャのムーヴメント

エピローグ
補章
本書の「問い」と「認識」についての覚え書き


あとがき

 

《いま・ここ》に共鳴する階級都市の諸相

「ここに記したのは、まぎれもなくアフリカン・アメリカンのムスリムたちの姿だ。だから本書はその点で、アメリカ社会に暮らすマイノリティたちの物語だと言えるかもしれない。〔……〕けれども、死を考えることが生を考えることであるように、マイノリティについて考えることは、ひるがえってマジョリティについて考えることでもある。マジョリティ/マイノリティの線引き自体が恣意的なもので、多くの場合マジョリティによって歴史・社会・文化的に構築され、維持され、ときに変化する。また、マイノリティは、その性質上、つねにマジョリティによってしるしを付けられ、制約を課され、それゆえにマジョリティを意識せざるを得ない立場にある。だから本書は、マジョリティに関する本でもある。アメリカの物語であり、アメリカについて語った本でもある」

――「まえがき」より

 

著者プロフィール

中村 寛(ナカムラ ユタカ)
多摩美術大学准教授。一橋大学大学院社会学研究科・地球社会研究専攻博士後期課程修了。博士(社会学)。専門は文化人類学で、「周縁」における暴力や社会的痛苦、差別と同化のメカニズム、コミュニケーションなどのテーマに取り組む一方、「人間学工房」を通じてさまざまなジャンルのつくり手たちと文化運動を展開する。訳書に、『アップタウン・キッズ――ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化』(大月書店、2010年)がある。

 

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